バイナリ化する幽玄
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作品名
バイナリ化する幽玄
会場
羽田イノベーションシティ
作家名
窪田望
素材
オンライン会議システム、障子、鈴虫寺の立体音響、PVC、大量の和紙
サイズ
10420*8000
1931年8月25日の羽田空港開港時に6000匹の鈴虫と松虫が最初の乗客として迎えられた。本作品は、鈴虫や松虫の音色を楽しむ平安時代から続く貴族の遊びであった「むしきゝ」の風習を、現代的な解釈で再構築する。来場者のスマートフォンのライトが、特殊なフィルムを通して壁に投影されることで、複雑で美しい色彩の「現代灯火」を生み出す。
作品の核心は、来場者の様子をオンライン会議システム経由で間接的に体験した時にある。観客は美しい現代灯火を目にする一方で、AIによって鈴虫の鳴き声が「ノイズ」として処理され、消し去られてしまっていることに気づくかもしれない。
AIは「ノイズ」と「意味のある音」を区別するが、秋の風流の象徴をAIが掻き消すときに、そこにはある種の排斥が内在化していないだろうか。これは2024年のAIで起きている問題で、未来ではこの問題は解決されているかもしれない。だが、その時はまた別の「小さき存在」が未来技術によって排斥されている可能性もある。作者は鈴虫の音が聞こえなくなったオンライン会議システムに寄せて思ひを陳べることで、進化するAI社会の中で取りこぼされている存在に目を向けることの重要性を訴えている。
